日本酒

エンタメ経営の日本一笑顔あふれる蔵!飛騨古川渡辺酒造の蔵見学

飛騨高山といえば、数年前に映画『君の名は。』で一躍注目を浴びた地域。

その少し先にある飛騨古川にある渡辺酒造さんは、「蓬莱(ほうらい)」銘柄で全国的に有名です。

苦戦する日本酒業界において、17年連続増収増益、年商は400%を達成している非常に勢いのある蔵。

その秘密を探るべく、雪が積もる2月に京都からはるばる遠征してきました!

とにかく「エンタメ経営」をモットーに酒造りを行っており、蔵見学の行程だけではなく、至るところに顧客を楽しませる工夫が盛りだくさん。

「また行きたい!と思える場所ってこういう所なんだろうな。」

そんなことを思わせる、日本酒好きだけではなく、万人におすすめできる蔵見学体験でした。

とにかくおもてなし力、エンタメ性が抜群の蔵でした!

わたしはこの見学をきっかけに、日本酒を勉強しようと思いました!

渡辺酒造まで飛騨古川駅から徒歩5分程度

京都から飛騨方面に向かう場合は、「特急ひだ」を利用します。

名古屋から特急で直接「飛騨古川駅」へ向かうか、「高山駅」から高山本線で約20分でアクセス可能。

いずれにしても3時間半程度かかり、車の場合でも同程度の所要時間となりそうです。

飛騨古川駅前は、映画『君の名は。』で有名になり、今でも多くの観光客が訪れています。

ここからの角度は映画のシーンに出てきたらしく、みんなが写真を撮っていました!

訪れた2月上旬は雪深い季節でしたが、幸い天気には恵まれました。

高山エリアとは異なり観光客も比較的少なく、落ち着いた雰囲気が味わえます。

駅からの道中も魅力的です。

この当たりを歩いているだけでも楽しいですね。

この角度から撮る写真が、飛騨古川の観光写真としてよく利用されているそう。

風情ありますね〜!

非常に立派な蔵です!

初めて訪れたのですが、蔵は非常に立派。

大きくて驚きました。

巨大な杉玉にはしめ縄が巻かれています。

威厳を感じますね。

飛騨古川の建物は地域のお寺のお堂よりも低く建設されているそう。

特に条例等があるわけではないのですが、歴史的な慣習が今でも残っているらしいです。

上の看板には「蓬莱」の文字が。

渡辺酒造の蔵自体、有形文化財に指定されているそうです。

飛騨古川の町並みにマッチしていて、多くのお客さんが常に訪れていました。

渡辺酒造さんは様々なコンテストに出品、受賞することで知名度を上げていきました。

それだけ品質も高く、評価される銘柄ということですね!

造りを再現した大きな銅像も!

酛すり中でしょうか??

飛騨古川は昔大工が多い土地として有名であり、高い建設技術を持っていました。

柱の縁に書かれている白いマークは、大工自身のマーク。

自分の技術力を示す、宣伝のような効果があったのかもしれません。

数々の受賞歴

蔵に足を踏み入れると、数々の受賞トロフィーや記念盾が。

世界酒蔵ランキングで3年連続受賞されています。

現在の9代目社長である渡邉久憲さんが蔵を引き継いだ時、業界全体もそうですが、渡辺酒造も非常に苦しい状況だったようです。

そこでPRの一環として、モンドセレクションを始めとして数々の品評会に出品。

受賞を重ねることで知名度向上、品質のアピールに繋がったのです。

蔵見学スタート!

今回の蔵見学は渡辺酒造専務である、渡邉英憲(わたなべひでのり)さんに案内していただきました。

この方の話、案内がとにかく面白かったです!

日本酒に詳しくなくても、分かりやすく丁寧に、楽しく解説してくれます。

米の違いを表現した「Wシリーズ」で利用されている酒米が展示されています。

名称のWは「W」は渡辺酒造店(Watanabe)、世界(World)、笑い(Warai)のトリプルWを意味しています。

まさに渡辺酒造らしい、面白い銘柄名。

特約店にのみ卸される、貴重なシリーズです。

渡邉さんの案内によって蔵の奥へと進んでいきます。(念のため顔にはモザイク入れてます)

酒蔵が信仰する神社といえば、京都の松尾大社。

渡辺酒造さんでもしっかりと御札が貼られていました。

渡辺酒造の生産数は一升瓶換算で年間60万本程度。

この数量は飛騨全体の酒蔵、2年半分の数量に匹敵するそうです。

つまり、飛騨地域でダントツの生産量を誇っているということ。

そのため機械設備も非常に大きいのですが、昔ながらの道具や手作業も多く、丁寧な造りが行われている印象を受けます。

麹室も大きくて綺麗です

麹室は非常に大きく、綺麗。

しかし、生産数量を考えると少しコンパクトなのかもしれません。

どうなのでしょうか。

同じ飛騨古川は富山に近いですが、富山の酒とは味のキャラクターが異なります。

富山は魚と合わすことを前提にしていますので、基本的にはさっぱりと淡麗なお酒。

しかし渡辺酒造では岐阜らしく、味噌と合わすお酒としてこってりにぎやかな味わいになっています。

その差を生み出す作業として、やはり製麹が重要になると説明いただきました。

醪タンクも大量です

醪タンクでは常に「お笑い」の音声が流されています。

漫才などを聞かせることで、面白い酒になることを願ってだそう。

年に一度はお笑い芸人を呼んで、生ライブもされているらしいです!

この話自体がすでに「面白い」ですよね。

発酵中のタンクを嗅がせていただけます。

二酸化炭素に加えて刺激的なアルコール感が鼻にガツン!と来ます。

咽るとはまた違った、非常に独特の体験です。

運が良ければ搾りたても味わえる?

見学時、上槽作業が行われていた場合搾りたてがいただけます。

今回搾りたてをいただけました!

ろ過前ということで、搾りたての日本酒はうっすら黄色がかっています。

ワイングラスでたっぷりと提供。

10名程度で訪れたのですが、全員が酔っ払ってしまうほど大量に試飲させていただけました。

サーマルタンクには大量のメッセージ!

水や食品をいれた容器に、ポジティブな言葉を書くと腐らないという話があります。

その内容から、お酒を貯蔵するタンクには歴代見学者たちの素晴らしいメッセージが書き記されています!

こんな光景は見たことがありません!

参加型の蔵見学として、本当にエンタメ化されています。

渡辺酒造さんならではの発想、取り組みですね。

皆さんいい言葉を沢山書かれています。

このメッセージの効果を受けた日本酒が、今日も全国に出荷されていると思うと感慨深いですね。

私達ももちろん記載させていただきました!

とにかくサービス精神旺盛

蔵見学は終始サービス精神旺盛に進められます。

こちらは、飛騨古川の有名スポットを川側から見れるという場所。

わざわざ案内してくれました。

『君の名は。』をもじった看板が蔵に立てかけられていました。

社長が執筆された本では、映画側と少し揉めたような記載があった気がします笑

問題なかったそうですが、何でも取り組む姿勢が流石です。

「渡辺酒造店に隠し事は一切ありません。」という記載がある看板。

顔を入れて記念写真が撮れるスポットになっていました。

こういったものも、普通の蔵ではあまり、というか見ないですよね。

最後には試飲会も実施!

一通りの蔵見学が終了し、渡邉専務は「今日の見学何点だった?」と質問してくれました。

「200点でした!」と大満足の返答をする参加者に対して、渡邉専務は、

「じゃあ、300点にしよう!」といって2階に案内。

そこにはめちゃくちゃ丁寧な試飲セットが用意されていました!

参加者全員分の試飲セット。

4合瓶がそれぞれ置かれており、半分飲み放題のような感じでした。

全6種のラインナップ。

比較的甘口のタイプから、どっしりした旨口のものまで幅広いです。

20代前半の参加者も多い会でしたが、全員が自分のお気に入りを見つけられるという懐の広さ。

造りの現場、工程を見てから飲むお酒は本当に印象が変わります。

より美味しく感じられますよね!

試飲会場から見える外の景色がまた素晴らしい。

絵みたいですが、しっかりと飛騨の風景です。

もっといい写真を取れば良かったと反省です。

でも、この風景はぜひ現地で味わってみてください!

お土産の種類も豊富です

蔵では日本酒も当然販売されていますが、それ以外のお土産も沢山ありました!

我々は「大吟醸ケーキ」を購入。

大吟醸酒を染み込ませて寝かせるという、贅沢な熟成ケーキ。

ほんのりと日本酒の良い香りがしながらも、上品に甘いスイーツです。

めちゃくちゃ美味しい!!

飛騨地方といえば、やっぱり飛騨牛。

飛騨牛を使用したおつまみもいただきました。

初めての蔵見学におすすめしたい渡辺酒造さん

「エンタメ化経営」というスローガン通り、本当に楽しい蔵見学でした。

予定時間をオーバーした長時間の見学でしたが、あっという間に終わった感覚です。

日本酒好きにはもちろん、蔵見学にいったことが無いという人にこそおすすめしたい蔵です。

造られる日本酒のラインナップは幅広く、初心者の方でも飲みやすい銘柄もあります。

飛騨地方の観光と合わせて、ぜひ一度訪れることをおすすめします!

◆周辺地図

現在の九代目社長が執筆された『日本酒がワインを超える日』という書籍についての感想も以下のnoteで書いております!

もしよければ合わせてご覧ください。

最高な体験でした。中々珍しい蔵ですね

定期的に訪れたい蔵だね!また行こう!