京都市の銀閣寺近く、北白川にしむら酒店は豊富な日本酒の品揃えが有名。
日々多くのお客様が珍しい日本酒を求めに足を運んでいます。
新政(あらまさ)など京都市内ではここしか取扱のない銘柄も珍しくなく、週末の抽選会などでは朝から列ができるほど並んでいるそう。
実はわたしが新卒から2年ほど勤務していた酒屋は、このにしむら酒店なのです。
今回は退職してから数年ぶり、初めて試飲会に参加しましたのでその内容をご紹介しようと思います!
沢山の珍しいお酒が飲めて、貴重な機会だったね!
参加料は一人あたり1,800円。
時間は1時間半ですので、ゆっくりじっくりと味わうことができました!
- 京都のオススメ酒屋!北白川にしむら酒店
- 試飲のテーマは「花」を思わすラベルや名前!
- 新政酒造(秋田) 新政(あらまさ)「秋櫻(コスモス)」 2022 2018飲み比べ
- 八戸酒造(青森) 陸奥八仙(むつはっせん)「赤ラベル」火入れ
- 出羽桜酒造(山形) 出羽桜「桜花吟醸(おうかぎんじょう)」生
- 出羽桜酒造(山形) 出羽桜「出羽燦々(でわさんさん)」生
- 栗林酒造(秋田) 春霞(はるがすみ)「赤ラベル」生
- 栗林酒造(秋田) 春霞「栗ラベル」生
- 栗林酒造(秋田) 春霞「緑ラベル」火入れ
- 黒龍酒造(福井) 黒龍(こくりゅう)「春しぼり」吟醸
- 大嶺酒造(山口) 大嶺(おおみね)「春風かすみ」生
- 酒井酒造(山口) 五橋(ごきょう)「ファイブピンク」純米吟醸生酛 生
- 酔鯨酒造(高知) 酔鯨(すいげい)「花ごろも」純米大吟醸
- 光栄菊酒造(佐賀) 光栄菊(こうえいぎく)「アナスタシアグリーン」生
- 東和酒造(京都) 六歓(ろっかん)「はな」特別純米 生原酒
- 吉田酒造(滋賀) 竹生島「吟花」純米吟醸 生
- 美吉野醸造(奈良) 花巴(はなともえ)「水酛」 生
- 美吉野醸造(奈良) 花巴「水酛×水酛」 生
- 美吉野醸造(奈良) 花巴 「1988年古酒」本醸造
- 美吉野醸造(奈良) はなともえ「弓弦葉(ゆずりは)」雄町 火入れ 28BY
- 美吉野醸造(奈良) はなともえ「弓弦葉」山田錦 火入れ 25BY
- ファン・ヒル・クアトロ・メセス(スペイン) モナストレル
- ウインダウリー・エステート(オーストラリア) シラーズ
- 個人的なお気に入り
- 北白川にしむら酒店 基本情報
京都のオススメ酒屋!北白川にしむら酒店
試飲会当日は日曜日ということで、本来は定休日。
以前も試飲アイテムはあったのですが、このように有料での試飲会はここ数年で始められたようでした。
一升瓶のリーチインには日本酒がズラリ!
通常の試飲アイテムはこちらに並んでいます。
来店すればいつでも試飲させてもらえるはずです!
反対側には四合瓶を中心に並んでいます。
以前はスパークリングワインもこの辺りに並んでいたのですが、日本酒の品揃えを強めているようでした。
常温では火入れの四合瓶がズラリと並びます。
見ているだけでも楽しい、素晴らしいお店ですよ!
ワインの品揃えも豊富です
当然、日本酒だけではなくワインも豊富にあります。
高めのワインはしっかりと温度管理して保管されています。
にしむら酒店はこの店内だけではなく、お店の奥にはマイナス5度とマイナス7度の貯蔵庫、ワインセラー、さらには大津の山手にも巨大な保管施設を持っています。
試飲のテーマは「花」を思わすラベルや名前!
参加したのは4月2日ということで、花を思わすラベルや名前にちなんだお酒が中心でした。
当日のリストを印刷して用意してくれています。
日本酒20種類とワイン2種類の全22種類!
スタート前には店主自らそれぞれの解説をしてくれます。
番号は、店主が試飲するならこの順番と感じた通りに並べているようでした。
われわれもその通りに飲んでいくことにしました。
参加者は8名程度?で1時間半交代。
全部で4回に分かれていましたが、毎回すぐに埋まってしまうようでした。
試飲はセルフで対応していきます。
半分飲み放題のような雰囲気で、皆さんお気に入りのお酒を探されていました!
11時スタートで参加しましたが、この時点でかなりテンション上がります!
新政酒造(秋田) 新政(あらまさ)「秋櫻(コスモス)」 2022 2018飲み比べ
まず1つ目から新政。
しかも同銘柄の年代違いの飲み比べでした。
今回の目玉とも言えるお酒。秋櫻は本来秋の花ですが、ピンク色のラベルということで春っぽさも感じますね!
新政はワインを意識したラベルにしており、年号は米の収穫年度。
ワインのように低アルコールを目指しているため、2022年は原酒でありながらも13度という度数を実現しています。
一方で2018年はまだ原酒で15度。
マイナス5度で管理されていたからか、2018年でも古酒感はなくフレッシュ。
個人的にはボリュームある2018年の方が好みでしたが、2022年もチャーミングで十分美味しいです。
中々飲み比べることもできない、貴重な経験をいきなりさせていただきます。
八戸酒造(青森) 陸奥八仙(むつはっせん)「赤ラベル」火入れ
そして陸奥八仙。
かなりフルーティーなイメージを持っていましたが、火入れだからか割と落ち着いた風味。
クリアで飲みやすく、飽きない味だと思いました。
お酒だけで飲むというより、魚介類などと合わせて楽しみたい1本です。
出羽桜酒造(山形) 出羽桜「桜花吟醸(おうかぎんじょう)」生
こちらは定番ですが、口にするのはおそらく初めてでした。
試飲会は自分が選ばないお酒を飲めるという意味で本当にいい機会ですね!
陸奥八仙よりもクリアで水々しく、本当にあっさり飲めるお酒。
ほんのりと吟醸香が感じられる、上品な一本でした。
使用米は山形県産米、精米歩合は50%ということで、次の出羽燦々との飲み比べが気になります。
出羽桜酒造(山形) 出羽桜「出羽燦々(でわさんさん)」生
同じく出羽桜から、こちらは山形県を代表する酒米「出羽燦々」を使用。
精米歩合はこちらも50%ですので、米違いといったイメージですね。(厳密には使用酵母も異なっているようです。)
個人的には、こちらの方が圧倒的に好みでした!
米感が強くて「日本酒らしさ」を感じます。
酒度、酸度、精米歩合は同程度でもキャラクターは全然違う印象で面白いですね。
栗林酒造(秋田) 春霞(はるがすみ)「赤ラベル」生
初めていただく銘柄。
美山錦60%精米、熊本酵母を使用した一本。
ハイカラで今風。流行りそうな味だと感じます。
うっすらと吟醸香がありながら、最後にはコクもある印象。
レトロなラベルですが、味と香りは現代風だと思います!
栗林酒造(秋田) 春霞「栗ラベル」生
同銘柄が続きますが、こちらは秋田酒こまち50%、蔵付き分離の亀山酵母を使用しているよう。
先程の「赤ラベル」以上に今風でモダンな印象。
先程のコクとは異なり、いい意味で若干の苦味がありました
派手ではないのですが、流行に乗っている日本酒だと感じます。
栗林酒造(秋田) 春霞「緑ラベル」火入れ
春霞3連続の最後は、美山錦50%、熊本酵母の火入れ。(赤ラベルの火入れでしょうか?)
こちらも例にもれずハイカラ、今風といった感想が飛び出てきました。
火入れですが、かなり香りは豊かで口に含んだときにもふんわりと広がります。
最近は生よりも火入れが落ち着いていて好きということもあり、最も好みの1本でした。
黒龍酒造(福井) 黒龍(こくりゅう)「春しぼり」吟醸
黒龍の春酒「吟十八号」が知らぬ間に名前を変え、こちらの「春しぼり」が後継となるようです。
五百万石55%精米、自社培養酵母を使用しているそう。
度数は18度と日本酒では普通なのですが、最近の傾向から考えるとやや高め。
しかし飲んだ時に度数は全く高く思わず、透明感があってサラサラ飲んでしまいます。
香りは控えめで上品、旨味の原料由来のようなコク、そして圧倒的なキレの良さ。
改めて魅力に気付かされる一本でした。
大嶺酒造(山口) 大嶺(おおみね)「春風かすみ」生
大嶺は以前お知り合いになった方が好きといっており、その時に初めて知った銘柄です。
その方は酸味の強いお酒が好みと話されていたので、「これはもしや」と思うとその通り!
愛山60%精米以外の情報を公開されていませんが、おそらく結構な酸度でしょう。
甘み、酸っぱさを求める時、これに勝るものは無い銘柄。
ハマる人はとことん好きになるお酒だと思います。
酒井酒造(山口) 五橋(ごきょう)「ファイブピンク」純米吟醸生酛 生
現代風のラベルをまとった五橋の一本。
五橋は以前ひやおろしを飲んだとき、美味しいイメージを持っていましたが数年ぶりにいただきます。
一言で言えば18号酵母らしい圧倒的な吟醸香とジューシー感、かつ生酛らしいコク。
そして、この酵母特有のほんのりとした苦味が残ります。
松井酒造の「神蔵」を飲んだときと似たようなイメージを持ちました。
酔鯨酒造(高知) 酔鯨(すいげい)「花ごろも」純米大吟醸
全国的にも有名な高知の酔鯨。
こちらは「吟の夢」と「山田錦」それぞれで醸した2つの純米大吟醸に、粗くこした純米大吟醸のモロミを適量加えるという珍しい造りをされているそう。
そのせいか味は米感が強く、おかゆっぽい印象を受けました。
モロミが影響しているのか、個人的には少し臭く感じてしまいます。
お燗にしても良かったかもしれません。また飲んでみたい1本です。
光栄菊酒造(佐賀) 光栄菊(こうえいぎく)「アナスタシアグリーン」生
こちらは3月の宅飲みで初めていただいた1本。
相変わらずのボタニカル感。
自分で頼むことは無いかもしれませんが、目の前にあったら美味しく飲む。
そんな印象のお酒です。
東和酒造(京都) 六歓(ろっかん)「はな」特別純米 生原酒
京都府福知山の銘柄で、今回初めて知りました。
女性杜氏で33年ぶりに造りを再開した蔵だそうです。
年間100石程度ということで、蔵の経営を今後応援したくなります。
周辺の酒米を使用し、機械ではなく手作りをされている本当の「地酒」。
こちらの1本は山田錦55%精米、熊本酵母を使用。
個人的に最も好きな米のふくよかなコクを感じられる、燗にしたいと思う1本。
丁寧な造りですので今後注目していきたいです!伸び代十分ですので今後も期待!
吉田酒造(滋賀) 竹生島「吟花」純米吟醸 生
個人的に好きな竹生島ですが、長年経営難に陥っており非常に心配されていました。
しかし去年の夏場、月桂冠のOB達が事業継承し、造りを維持されているようです。
滋賀県のお酒特有のどっしりとしたコク、そして米感が強くキレもあります。
以前より少しあっさり、軽くなったかな?という印象ですが、久しぶりに飲んだので少し判断が難しいところ。
それでも美味しく、非常に好みに近いお酒は変わらずでした!
美吉野醸造(奈良) 花巴(はなともえ)「水酛」 生
今回最も衝撃的だった花巴。
室町時代の「水酛」と呼ばれる製法を、現代に復活させ製造したお酒です。
生酛では普通の水を使用しますが、水酛では「そやし水」という酸性水を使用することが大きな特徴だそう。
酒母の完成に54日、モロミに41日と生酛の1.5倍程度の時間をかけ造られています。
酵母も無添加であり、自然由来のものを使用。
そして、その味はかなり酸っぱいです。
大嶺が好みの方は絶対好きなはず。ぜひお試しください!
美吉野醸造(奈良) 花巴「水酛×水酛」 生
こちらは仕込み水の一部に、水酛で作ったお酒を使用した1本。
つまり「貴醸酒」ということになりますが、この名称を名乗るためには特定の協会に入る必要があるそうです。
そのため「水酛×水酛」という名称になっています。
貴醸酒同等ということで、先程の銘柄よりは甘みが加わっています。
しかし酸味は依然として強く、個性的なお酒。
これも好きな人はとことん好きなはずです。
印象としてはチーズケーキを液体にしているようなイメージでした笑
美吉野醸造(奈良) 花巴 「1988年古酒」本醸造
花巴のなんと35年前の長期熟成古酒。
こちらは灘の有名な蔵元「剣菱(けんびし)」が、当時桶買いしていたお酒だそう。
剣菱で最も有名な白いラベルのお酒は、他の蔵が製造したお酒を購入して自社製品として販売しているらしいです。
本来の剣菱は生酛造りをメインにしていますが、販売する製品の88%は桶買い。
1割程度が生酛の純米という自社製造とのことでした。
当時はまだ特級制度が残っていましたが、剣菱に二級はなかったため特選もしくは上撰に分類されていたようです。
この商品は35年前に美吉野醸造が剣菱に卸したタンクの内、1本が忘れされれて保管されていたよう。
そちらが剣菱から戻ってきたので、自社品として販売に至ったという、エピソードも含め面白みのある1本。
紹興酒のような色味になっていますね。
古酒特有の旨味もありますが、以外にあっさりスッキリしている印象。
度数は20度と高いですが、熟成酒にありがちな「飲みにくさ」はあまり感じられませんでした。
本醸造の35年古酒なんてそうそう飲めるのものではありませんで、本当にいい経験になったと思います。
美吉野醸造(奈良) はなともえ「弓弦葉(ゆずりは)」雄町 火入れ 28BY
花巴の中でも別ラインに位置付けされているようなシリーズ。
県外雄町70%精米のこのお酒は、酵母無添加の速醸酛ということでした。
酸度が3.0と高く、個人的には酸っぱく感じられるお酒。
しかし28BYと若干熟成が入っていることからか、うっすらとコクを感じられる面白い味をしていました。
美吉野醸造(奈良) はなともえ「弓弦葉」山田錦 火入れ 25BY
こちらは山田錦70%精米、熊本酵母を使用した1本。
25BYということで、約10年熟成といったところでしょうか。
先程の28BYとは異なり、すっかりカラメル色の古酒という風貌でした。
お燗に合いそうな典型的な熟成酒。
花巴は今回初めていただきましたが、全てが個性的で面白いお酒だと思います!
普段日本酒を飲まない女性にも、オススメできるかもしれないね!
ファン・ヒル・クアトロ・メセス(スペイン) モナストレル
最後は赤ワイン。
スペインのモナストレルという品種を使用したフルボディです。
濃い酒好きなわたしにぴったりのパワフル感と樽感。
タンニンも割と強めに感じられる、スペインの熱気を感じられる力強いワインでした。
ウインダウリー・エステート(オーストラリア) シラーズ
試飲会を締めるのは、オーストラリアのシラーズ主体(少量のカベルネ・ソーヴィニヨン)のこれまたフルボディ。
正直、先程のスペインワインの印象が残っている状態で飲んでしまいましたが、こちらも負けず劣らずパワフルなワインでした。
スペイン、オーストラリアでも桜は有名なのでしょうか?
インポーターの判断でデザインされているのでしょうか?
いずれにせよ、お花見関係なく年中楽しめるワインであることには間違いありません。
個人的なお気に入り
今回、日本酒とワインを合計22種類たっぷりと試飲させていただきました。
その中で、われわれが個人的に気に入ったお酒は以下の通り!
- 出羽桜酒造(山形) 出羽桜「出羽燦々」生
- 黒龍酒造(福井) 黒龍「春しぼり」吟醸
- 東和酒造(京都) 六歓「はな」特別純米 生原酒
- 吉田酒造(滋賀) 竹生島「吟花」純米吟醸 生
割とスタンダードな、昔ながらの日本酒が揃っている印象かもしれません。
やっぱり酸味と甘みが強いお酒は難しいですね…
特に、出羽燦々はこれまで甘く見ていて反省です。
黒龍は安定、そして六歓は今後の期待も込めてお気に入りに入れておきます。
竹生島も他の種類を次は購入してみたいと思います!
今回は午前中の試飲ということで、出かける予定もあったので生原酒の購入は避けました。
その代わりに、とある火入れの熟成酒とワインを購入しましたので、また別記事でご紹介させていただきます!
北白川にしむら酒店 基本情報
今回試飲会にお邪魔したにしむら酒店については、以下の公式HPをご参考ください。
日本酒好きならきっと楽しめる、非常におすすめの酒屋の一つです。
◆北白川にしむら酒店周辺地図
貴重なお酒ばかりで本当に参加してよかった!
そうだね!次回の試飲会もぜひ参加しようね!