日本酒

北白川にしむら酒店試飲会レポート!6月は新政頒布会&仙禽10種に夏酒と豪華な品揃え!

毎月恒例になりつつある、北白川にしむら酒店の試飲会に参加してきました。

今回は新政(あらまさ)の頒布会の発泡が2種、仙禽(せんきん)10種がメイン!

仙禽をこの本数一気に飲み比べる機会はそうそうありません。

そういう意味でも、非常に有意義な会になったと思います。

ほとんどの銘柄は1週間前の試飲会で使用されており、

マイナス8度で保管されていたという少し特殊な環境。

そのため開けたての味、香りとは異なっているかもしれませんのでご注意ください。

先月は夏生がメインでしたが、今回も夏酒がある程度の数量。

そして近年評判を伸ばしている丹波ワインというラインナップ。

仙禽は最近好みの蔵なので、この試飲会は非常に有意義でした。

新政頒布会も試飲できるって、すごくいい会だよね。

全25種と今回もボリューミーですが、一挙に記載していきます!

目次

新政頒布会の発泡

5月〜7月の3ヶ月間、月に1回ずつ2本セットのお酒が届く新政頒布会。

基本的には「試験醸造的なお酒」が届くらしく、一般発売する前の段階、もしくは実験的なお酒が中心になるようです。

2023年のテーマは「発泡タイプ」ということで、そちらの2種が試飲で提供されました。

自宅に届く際はこんな感じの箱に入ってくるよう。

デザイン性も高くて、かなりしっかりした箱ですね。

ラベルは通常のエクリュ、コスモスと一緒でしょうか?

朱色ラベルのコスモスは薄濁ということで、上記の写真のように比べると違いがわかります。

新政酒造(秋田) 新政(あらまさ) 「Colors エクリュ」クリアスパーク

あきた酒こまちを使用したエクリュの発泡。

香りはクリームチーズ、たくあんのような酸味を連想させます。

飲むと爽やかな発泡が広がり、綺麗です。

後味も切れがあり、けっこうシャープ。

本来、日本酒の瓶内二次発酵は醪(もろみ)を残すため、濁っているのが基本。

その濁りを取るために、シャンパンの製法である「デゴルジュマン」という、

澱引き作業を行うそうです。

おそらくこちらもその製法で造られているのではないでしょうか。

食前酒にピッタリ。フレンチの乾杯酒になり得る日本酒です。

下手なスパークリングワインよりも圧倒的に美味しいと思いました。

新政酒造 新政 「Colors コスモス」スパーク

改良信交を使用したコスモスの発泡うすにごり。

こちらは通常の発泡同様、薄く濁っております。(それでも薄いですが。)

香りはエクリュよりもこってりしたミルキーさを感じ、米由来の豊満な印象があります。

発泡の爽やかさはやや控えめですが、キレもあってバランスが良い。

余韻も長くて、ゆっくりと楽しめる1本ですね。

実験的な銘柄らしいですが、かなりの人気を集めそうです。

仙禽10種を一挙飲み比べ

5月からにしむら酒店は仙禽の特約店になったそう。

スタンダードな仙禽を知る上で、今回の10種を用意したと店主は話されていました。

モダンは速醸、クラシックは生酛、クラシックナチュールは昔の造りを再現と、

シリーズごとに違った造りが特徴です。

一部例外はありますが使用酵母は基本的に9号酵母で統一されています。

さらに麹米の精米歩合も、基本50%に統一することで造りの質を安定させているそう。

日本酒度と酸度は非公開ではありますが、基本的に日本酒度−3、酸度2以上が基本となっているらしいです。

ここまでズラッと揃う光景は珍しいですよね!

(株)せんきん(栃木) モダン仙禽(せんきん) 亀の尾 壱火

モダンは速醸で造られるシリーズです。

香りは控えめですが、ほんのりと甘酸っぱい印象を受けます。

口に含むと果実感がジューシーに広がりますが、シャープに切れる後味が良い。

結構ドライで飲み飽きないかも。

後の山田錦と比較して飲みましたが、あっさり軽やかに飲めると思いました。

モダン仙禽 「無垢」 山田錦 壱火

米のぼってりした香りがあり、そこまで派手な吟醸香はありません。

先程の亀の尾と比較して、こってり甘口な呑み口。

フルーティーですがふくよかで全体的に丸い印象を受けます。

燗にしてゆっくり飲むと、また違った楽しみ方ができるはず。

モダン仙禽 雄町 壱火

雄町は全国の9割以上が岡山産。

晩稲であることから他地域での栽培が難しい品種。

それでも仙禽は栃木での栽培に成功し、自社の雄町を使っているそうです。

亀の尾、山田錦と比較してコクの強さが印象的でした。

一回火入れということもあり、全体に香りの印象はそこまで強くありません。

甘み、含みの芳醇さ、そしてコクといった面で個人的に好みの1本でした。

クラシック仙禽 亀の尾 壱火

クラシックシリーズは生酛造り。

乳酸菌を連想させる甘酸っぱそうな、クリーミーな香りが全面的にきます。

飲んでみるとどっしりととしたコクもありがなが、意外とあっさり。

後味さっぱりでバランスの良い1本だと思います。

クラシック仙禽 「無垢」 山田錦 壱火

亀の尾と比較して、よりクリーミーな香りが強調されています。

仙禽全体に共通していますが、控えめながらも確実にいる果実味、ジューシーさがあります。

山田錦からは唯一、トーストや焙煎した米のような香ばしさを薄っすらと感じました。

それでも後味はダレること無く、さっぱりと切れていきます。

造りのレベルの高さが伺えますね。

クラシック仙禽 雄町 壱火

モダンシリーズで最も好みだった雄町。

クラシックでも同様にどストライクでした。

亀の尾、山田錦よりも強いクリーム感。牛乳を香っているようでした。

軽やかな吟醸香がふんわりと香りながらも、苦味とも取れるコクがどっしりときます。

酸味はそこまで強くなかったので、常温から燗にしても美味しいのではないでしょうか。

仙禽 「かぶとむし」 山田錦 生酒

夏生の立ち位置で年に1回出荷される銘柄。

今回の仙禽の中で唯一、多酸性酵母を使用しており酸味はずば抜けています。

甘酸っぱいジューシー感は非常にモダン。ラベルも含めてハイカラなお酒です。

それでも丸み、コクもしっかりあるのがさすが。

以前試した、国産チーズとの相性が抜群でした!

仙禽 オーガニックナチュール 亀の尾 壱火

オーガニックナチュールは昔の生酛造りを再現したシリーズ。

精米機がなかった時代の精米歩合90%、使う米も無農薬栽培された亀の尾というこだわり。

酵母は無添加で蔵付きの自然由来を使用、仕込みも当然のように木桶です。

香りは90%精米とは思えないほど軽やかで、重たい印象は抱きません。

口に含むと米感、コクが割りと感じられます。

しかし、それ以上に酸っぱい酸味と仙禽らしいジューシー感。

独特の酸味が特徴的な銘柄で、好みが分かれるかもしれません。

仙禽 オーガニックナチュールW(貴醸酒) 亀の尾 壱火

貴醸酒の製法で造られた銘柄。

三段仕込みの最後に、仕込み水を減らして日本酒を加える製法です。

造りに利用する日本酒は 昨年のオーガニックナチュールが利用されるそう。

香ばしい香りが印象的で、例えるならシュガートーストといった感じ。

口に含んでも甘すぎず、コクを含んだ上品な甘味です。

自然由来の貴醸酒造りということですが、レベル高いと思います。

プレミアム仙禽 麗(うらら) 亀の尾 壱火

プレミアムシリーズということで、亀の尾35%精米。

さらに斗瓶取りで搾られるているようです。

香りはクリーミですがジューシー。

磨いているのですが、意外とコクがあり甘みもしっかりとしています。

個人的には、アリナミンCから感じられるカラメルっぽい甘さを感じました。

上品な仙禽ということで、これまでのシリーズとはまた違った印象を受ける1本でした。

夏酒シリーズ

秋田醸造(秋田) ゆきの美人 純吟 夏しぼりたて 生酒

マンションの1階で酒造りを行う蔵。

夏にピッタリのラベルから連想される通り、スッキリとした夏生です。

暑い夏でもさっぱりいける、切れのあるシャープな1本。

仙禽を連続でいただいた後だからか、全体的にコンパクトでチャーミングな印象を受けました。

 齋彌酒造(秋田) 雪の茅舎(ゆきのぼうしゃ) 純吟 山田穂 夏の生酒

全国的に有名な秋田の雪の茅舎は、山田穂を使った夏生。

銘柄名より、酒米を全面に押し出すラベルデザインがどことなく大手っぽいです。

山田穂は山田錦の母方の品種で、そこを押し出したかったのだと思います。

雪の茅舎らしいシロップのような甘い香りですが、

味わいは上品でスッキリとしています。

コクがありながらも瑞々しい、秋田らしい夏生でした。

阿櫻酒造(秋田) 阿櫻(あざくら) 純大吟 原酒 山内杜氏百周年記念酒

現在の秋田県横手市は大正頃までは山内村と呼ばれ、多くの出稼ぎ蔵人が集まる地域でした。

次第に技術力が培われ、「山内杜氏」と呼ばれる集団が出来上がっていったそう。

そんな「山内杜氏組合」の創立100周年を記念した、阿櫻の1本。

秋田県が開発した酒米、一積穂は母方を越淡麗、父方はあきた酒こまちというかけ合わせ。

しかも冷凍保存していた100年前の協会1号酵母を利用するという、珍しいお酒になっています。

色々と初めてのお酒ですが、香りは甘酸っぱそうな吟醸香。

含み香としてトーストやクッキーのような香ばしさがあります

次は100年に販売されるのでしょうか?非常に珍しいお酒ですね!

髙千代酒造(新潟) たかちよ 青 おりがらみ 火入れ

青ラベルのイメージはグレープフルーツ。

1週間保管されていたからか、サワークリームのような香りが印象的でした。

味わいはたかちよらしく、こってりとコクのある甘み。

甘みのジャンルはアメリカのお菓子を連想させました。

食前酒、デザート酒として最適化もしれません。

黒龍酒造(福井) 黒龍 純吟 夏しぼり 原酒

今回の夏酒シリーズの中では、最も強く吟醸香を感じられました。

日本酒度は+9.3と高く、キレと甘みのバランスが絶妙。

それでも全体的にコクのある味わいも目立ち、食中酒として最高の1本だと思います。

黒龍ってほんとに外れがない。

板倉酒造(島根) 天穏(てんおん) 純吟 涼殿(すずみどの) 一回火入れ

初めていただいた天穏という銘柄。

非常に酸味を感じる香りがありましたが、味わいは意外とあっさりしています。

コクもありながら瑞々しく、非常に飲みやすい一本でした。

爽やかなまさに夏酒。

こういった銘柄は改めて色々な料理と合わせて飲んでみたいですね。

飛良泉本舗(秋田) 飛良泉(ひらいずみ) 飛囀(ひてん) 鵠(はくちょう) TypeA 一回火入れ

最近の日本酒は「酸っぱい」ものが多いと思いますが、

こちらはその酸味を追求したような銘柄でした。

山廃酒母で乳酸菌、白麹でクエン酸、No.77号酵母でリンゴ酸を獲得するという、

酸味のオンパレード。

しかし、抜栓から1週間経過しているからか、意外と香りも控えめで程よく爽やか。

それでも喉にくるガツッとした酸味はあります。

普通の日本酒でここまで酸っぱいと思うものはないのではないでしょうか。

こういったチャレンジングなお酒は面白いです!

飛良泉本舗(秋田) 飛良泉 飛囀 鵠 BLACK LABEL 一回火入れ

基本的な造りは上のTypeAと同じ。

白麹を三段仕込みの仲で入れるか、もしくは留で入れるか、それだけの差らしいです。

どちらがどちらなのか失念してしまいましたが、面白い取り組みですね。

BLACK LABELのほうが、クリーミーでコクがある印象を受けました。

TypeAがレモンやグレープフルーツ的な酸味だとすれば、

BLACK LABELはサワークリーム的な甘みを伴ったまろやかな酸味。

中々面白い銘柄です。

京都の丹波ワイン5種

丹波ワインは長年、残念ながら京都での評価は高くなかったそう。

しかし、この2〜3年で急激に評価を伸ばし、お店でのラインナップも強化しているようです。

国産ワインはどうしても飲む機会少ないので、

こうやって試飲会でいただけるのはありがたいですね。

トラディショナルスパークリング 2015

8年熟成のスパークリングワイン。

ピノ・ノワール、ピノ・グリ、トレビアーノ含め25品種がブレンドされているそう。

色味も撮ればよかったのですが、熟成らしくほんのりガーネット系に色づいていました。

コクのあるスパークリングで、ガッツリと飲みごたえがあります。

熟成特有の苦味、コクがありますので、これを苦手と捉える方もいるかもしれません。

酸化防止剤無添加 てぐみ甲州 2022

てぐみは、丹波ワインが「打倒ビール!」を目指して造っている銘柄。

酸化防止剤無使用、ろ過もしないという生詰ワインです。

デゴルジュマン(澱引き)をしていないので、そこには日本酒の醪のようなものが沈殿しています。

チャーミングでフレッシュ、そして軽やかな甲州ですが、自然の味を感じます。

ラベルも可愛らしいので、女性が多い飲み会にぴったりかも。

京都丹波産 ソーヴィニヨン・ブラン 2020

個人的に大好きなソーヴィニヨン・ブラン。

丹波ワインでは柑橘系の香りよりも、ハーブ系の香りを強く感じました。

味も多く、爽やかというよりは結構コクのある白ワイン。

国内ワインで唯一、ボルドーでの国際コンテストで金賞を受賞しています。

長野県産 メルロー 樽熟成 2016

丹波ワインですが、長野県須坂のブドウ農家のメルローを使用しています。

正直、今回の日本酒も含めて一番印象に残り、美味しいと思いました。

メルロー単一はあまり好みの銘柄がなかったのですが、これはかなりドンピシャ。

程よい樽香とベリー系の香り、味わいもタンニンと酸のバランスが良い。

ぼってりしたふくよかなメルローという感じ。

店主も「5,000円程度のサンテミリオンと言われても分からないかも」と。

これは試飲会後、購入ちゃいました!

京都丹波産 タナ 2018

初めて知った品種ですが、タナはタンニンの語源になったとも言われているそう。

確かに、ブドウの実というよりは皮を飲んでいるという印象です。

非常にパワフルで濃い味わい。

まさに、肉料理に合わせたい1本ですね。

今購入して、もう数年寝かしてもいいかもしれません。

今回のお気に入り

今月は日本酒、ワイン含めて全25銘柄。

その中で、われわれが個人的に気に入った商品は以下の通り!

お気に入り6選!
  • 新政(あらまさ) 「Colors エクリュ」クリアスパーク
  • モダン仙禽 雄町 壱火
  • クラシック仙禽 雄町 壱火
  • 雪の茅舎 純吟 山田穂
  • 黒龍 純吟 夏しぼり 原酒
  • 丹波ワイン 長野県産 メルロー 樽熟成 2016

新政は美味しいけど、好みでない銘柄が多いのですが、

エクリュスパークはワイン代わりに飲めると初めて本気で思いました。

仙禽も、最近のモダンな蔵の中では最も好みです。

雄町が好きということもあって、一番記憶に残りました。

後は食中酒として最高な雪の茅舎と黒龍。

ワインはメルローが本当に美味しかった。

前回の夏生中心のラインナップとガラッと変わり、

毎月楽しませてもらえます。

色々と知らない銘柄を楽しめる、本当に良い会です。

また次回も楽しみだね!

北白川にしむら酒店 基本情報

今回試飲会にお邪魔したにしむら酒店については、以下の公式HPをご参考ください。

日本酒好きならきっと楽しめる、非常におすすめの酒屋の一つです。