日本酒

【日本酒テイスティング】河武醸造 鉾杉 秀醇

渋谷パルコの地下一階、「未来日本酒店&SAKEBAR」へ訪れた際、ひときわ旨い普通酒がありました。

それが今回紹介する河武醸造の「鉾杉秀醇」。

「未来日本酒店&SAKEBAR」は流行りのクラフトサケを中心に、今をときめく蔵元の銘柄が揃っている面白いお店。

そんな珍しいお酒を数種類いただいたのですが、その中でもとんでもないインパクトを残した「鉾杉秀醇」。

クラフトサケでもなければ、流行りのモダンなタイプでもない。

まさに「ザ・日本酒!」といったタイプなので好みを選ぶかもしれませんが、感動したのでテイスティング記事にします。

元々普通酒好きですが、こちらの銘柄はずば抜けて美味しかったです!

三重県に蔵を構える河武醸造の普通酒

河武醸造は「鉾杉」という名称で特定名称酒も販売されています。

その中の「秀醇」という銘柄になるそうで、扱いとしては普通酒です。

三重県を中心に人気を持つ蔵元であり、最も人気のある地酒はこの普通酒らしい。

「どこよりも旨い普通酒を造る」をテーマにされているらしくその味わいは確か。

2021年にはIWC(インターナショナルワインチャレンジ)の普通酒部門において、最高賞トロフィー受賞するという快挙を達成。

最もコスパの良いお酒に贈られる称号「グレートバリューサケ」も受賞しています。

この味わいがこの価格となると、家に常備しておきたいと思う日本酒ファンが多いことも納得です。

四合瓶で1,000円以下、確か960円くらいで購入したと思います。

旨味を出すために山廃をブレンドしている

普通酒をざっくり説明すると、使用する米の等級や醸造アルコールの添加などの基準が緩いお酒を指します。

本醸造や純米吟醸酒といった名称を名乗るための基準に該当しないものが、普通酒となるのです。

そのため、一般的には品質を求めて普通酒を購入することは少ないでしょう。

しかし、この「鉾杉秀醇」は手間がかかる山廃造りのお酒がブレンドされてます。

そのため、普通酒にありがちな抑揚のないフラットな味わいではなく、奥行きと切れが産まれているのです。

山廃由来の香りと味わい

香りはふっくらとしたお米の旨味が感じられるふくよかな香りが印象的。

グレープフルーツの皮を連想させる渋みに加えて、スッと通ったアルコール感も感じられます。

香木やヒノキといった熟成感を感じられる香りと共に、ヨーグルトといった乳製品のようなニュアンス、若干のスモーキーさもあるなど複雑な香り。

通常、普通酒は透明であることが多いのですが、「鉾杉秀醇」の場合は山廃がブレンドされているからか薄っすらと黄色掛かっています。

一口含むと、色合いから連想されるほど強いアタック感はありませんが、徐々に米の旨味が広がっていきます。

トロッと丸みのある甘みの後に、シャープな酸味で切れていきます。

アルコール添加によるキレと、山廃由来の酸味が同居しているのでしょうか。

気取らず、何も考えずにダラダラ飲める。

いろんな温度帯に対応できると思いますので、本当にずっと飽きずに飲んでいられるはずです。

価格以上の香りと味わいが楽しめます。

ラベル情報

  • 原材料:米(国産)・米麹(国産)・醸造アルコール
  • 精米歩合:65%
  • アルコール度数:15度

精米歩合65%と結構削っているんですね。

品質的には本醸造と言われてもなんの違和感も感じません。

普通酒特有のアルコールのツンと来る感じ、固い感じは一切ありません。

長期熟成にも向くような、しっかりと強靭な味わいが楽しめます。

ぜひ、見かけたら購入してみてください!